「one water」なる浄水器が設置されていた
我が家に水道水を「素粒水」なる水に浄化するステキ浄水器されていたのですが、朝から効果をめぐって大喧嘩ですよ。
なんだか釈然としなかったので、調べた事項の備忘録です。
まずメーカー「フリーサイエンス社」の製品紹介
https://www.f-science.com/pages/lineup/onewater.html
いきなり説明が謎なんですが、「活性加工」って具体的に何なのですかね。水分子を「粒子状」にするって沸騰させるんでしょうか。クラスターの話でしたら活性炭と不織布を通したところでバラバラになったとしてもその状態がキープされることはないと思うのですけど。自浄能力??酸化現象を抑制??謎です。
この謎を解明すべく特許検索ページへレッツゴー!
なぜか特許2014335の公報が表示されないので、経過情報を見ると「年金不納による抹消」ですか・・・
出願人は新紀産業株式会社の畑中さんら。
何が特許の対象になっているのか明細書を見ると「繊維品類の染色方法」とな。
加圧水を玄武岩などの無機物質に接触通過させ、その後、常圧下に曝気する工程を経ると活性化鉱水なるものが生じ、これを用いて染色すると染料などの染着効率がアップするということで。製法に関しては「先に特開平3-106494号において、活性化鉱水の製造方法およびその製造装置を開示し」とあったので、こちらもチェック。
こちらも同じようなことが記載されてますね。効率的に浄水を生成する方式とのこと。
で「不織布フィルターに特許技術(第2014335号)を導入」とは、何らかの染色処理を施したフィルターということなのでしょうか。”活性化鉱水を種水にして加工されたフィルターと説明を受けた”とのことですが、「活性加工」とは一体なんなのでしょう。謎です。
仮に浄水器自身が活性化鉱水を生成するとなると、特許の内容からは加圧&減圧曝気の工程を24時間繰り返す工程ですので、この浄水器の構造とは合わないですね。
『「素粒水」を創る技術が特許として認められた理由は、水分子の粒子状態が長期間(半永久的)持続するためです。』とありましたが、特許2014335の請求範囲からは読み取れませんでした。水素結合をぶった切って長期間維持する超科学の濾過フィルターを開発されたとのことですが、私の頭が悪いせいか、仕組みがよく理解出来ません。申し訳ございません。
念のため申し添えて置きますと、特許は科学的な正確性は担保しませんよ。「自然法則を利用した技術的思想の創作」であれば審査されて取得可能ですが、審査のプロセスでは通常、追試などは行われません。
結局のところ、製品仕様を見ますと、ろ材が
繊維活性炭(銀不使用)、亜硫酸カルシウム(Caセラミック)、不織布(活性加工)
https://www.f-science.com/pages/lineup/onewater.html
ということなので、普通の活性炭浄水器ということなのではないでしょうか。19,800円って高えよ。
さらに、なぜか「素粒水」に梅を漬けておくと「醗酵」を促進するらしいんですよね。まあ梅に酵母菌が入れば「醗酵」してアルコールや炭酸ガスを発生することはあるかもしれないですが、こちらもただの梅シロップなんですかね。ちなみに梅酒を作るときに砂糖を入れるのは、アルコール醗酵のためというよりは浸透圧を変えて梅エキスの抽出を促進できるからなんですね。
「醗酵(還元)」って書いてあるのも非常に気になります。「還元」って化学では酸素を除く処理ですが、辞書的に”根源的なものに戻す”といった意味なら、それはもはや「醗酵」ではないと思うのですがいかがでしょうか。こちらも私の頭が悪いせいか理解出来ません。すみません。
https://www.f-science.com/pages/eco/eco562.html
以下、参考情報でございます。
水のクラスター ー伝播する誤解ー
http://www.cml-office.org/atom11archive/water/water_cluster.html
水にまつわるエトセトラ ーレーザー分子分光学からの知見ー
http://www.ritsumei.ac.jp/lifescience/achem/laserpc/study/mizu/mizu.html
水の構造と性質
https://www.con-pro.net/readings/water/doc0003.html
現場からは以上です。よろしくお願いいたします。
追記 2023-10-21 続きを書いたでござる。
追記 2024-05-01
素粒水関連の日本の特許が切れているのは書いた通りですが、じゃあ「8か国特許」の状況はどうなっているの?というわけでGoogle Patentsでアメリカの特許を調べてみたところ、やはり失効しているわけですよ。他の国の分もお察しなのだろうね。韓国、ドイツ、ヨーロッパでも切れとる。
特許的にはマネし放題なわけですが、フォロワーが出てきませんねえ。
こんなにミラクルな効果が出るらしいはずなのですけど、どうしちゃったんですかねえ。
日本の特許に関しては 1786552(1993/9/10) の方で「活性化鉱水の製造方法およびその製造装置」がありましたが、こちらもすでに期限切れ。内容をみるに10気圧程度の加圧・減圧を繰り返して鉱物(無機物質)を溶かし込み、微生物の増殖を抑え込むといった内容。薬用温泉などでの利用を想定した模様。つまりはミネラルウォーターを効率よく生成する装置の特許。請求での効能には分子をぶった切るとか、いろいろミラクルな効果に関しては記載されていないでござる。
中華民国の方では 53969 (1992/5/12) で該当する特許が出てこないんだけど・・・
“Kenji Hatanaka"氏で検索しても出てこないよ・・・