「コロナ後」の社会にリモートワークは根付くのか
経済活動が回らなくて、不況で人が死ぬぞというGW後に外出自粛解禁論と、今でさえ救急医療の現場が飽和状態なのに、これ以上、重症患者を増やすリスクを取るべきでないという延長派がせめぎ合っているように見えます。新規患者数や重症患者数は最近に限って言えば減少傾向になるので、このまま続けば封じ込めに近づけるのかもしれません。経済・医療のどちらのリスクを重く見て政策の優先順位をつけるのか、広い意味でのトリアージを迫られているのかもしれません。
いずれにせよ、一旦終息に近づいたとしても海外情勢は未だにヤバイわけです。直近ではロシアで拡大中。落ち着いたと思われるシンガポールでも加速度的に患者数が増えているニュースが伝わるなかで、2派、3派の感染拡大のリスクは想定に入れておく必要があります。日本でも外出自粛が解除されてもいきなりアクセル全開とはいかず、段階的に緩めて様子を見る必要があるでしょう。
さて「3密回避」のため、なんだかんだで急に普及したリモートワーク、リモート会議などは、これからどうなるのかというのが目下の関心ごとです。2月、3月以降に急ごしらえとはいえ、何だかんだ運用ノウハウが溜まりつつあるところだと思います。うまく運用出来ているところは業務効率の向上に資する所もある一方で、全く上手く運営できなかった会社もあると耳にします。私のクライアントでは全社員を基本的には全員リモートワーク対象にして、オフィスの机はフリーアドレスにしました。メインの業務連絡はSlackで行い、定例会議等はZoomやSkypeなどを使っています。4月入社の新人の業務をどのように割り当てるかなどの問題もありましたが、全体的には上手く機能しているようです。周りを見ていると、IT系やコンサル関連の会社は上手くソフトランディング出来ている所が多いようです。
一方で、対人接客やインフラ系などはしょうがないとして、バックオフィス業務ながら、リモートワークに苦戦している話も耳に入ってきます。業務PCがデスクトップでアプリ、データの持ち出しが出来ない。ファイルサーバーなども無く、VPNなども良く分からない。組織にITエンジニアがいないので、そもそも何をどうして進めていいか分からないという事のようなのですね。(そんな会社、NGO、NPOさんなどいらっしゃいましたら相談に乗りますのでご連絡ください。)
すごく乱暴な仮定として、インフルエンザのように冬季に流行が来るとして、それまでの間はオーバーシュート警戒でアクセス50%くらいで世の中が動くとすれば、第2派に備えて半年くらいの間にリモートワークを想定したITインフラの整備、人事規定やワークフローの見直し、BCPの整備など急いで準備をしなければいけない。(ひょっとしたら夏休みの期間に爆発的に感染が広まるといった可能性も考えておかないといけないかもしれない。)目先のキャッシュフローが怪しいなか、これらの投資をするのも厳しいとは思うのですが、最低限は対応しておかないと業務が止まります。
ITインフラ周りでのTODOといえば、例えば次のような事項があります。
- リモートワーク用のノートPCの用意(アプリケーション含む)
- 社員側の回線の確保(必要に応じてモバイルルーターの調達)
- 業務に必要な書類の電子化
- 業務用のファイルサーバーの準備
- 社員のリモート会議などのコミュニケーションインフラの導入と教育(最悪、電話会議でも良い)
業務・業態によって優先度は変わりますが、場合によっては紙書類の自宅持ち帰りを可能にする管理規定の整備だったり、FAX受信で注文を受けるような場合には受信FAXをPDF化してメール転送するサービスの導入など必要になってくるものが変わってくるでしょう。
いずれにせよ、それぞれの状況・体力・余裕の度合いによって動き方の違いは出てくるでしょうが、なるべく早めの対応が必要と思います。自社で対応が難しそうな場合には、お付き合いのあるITベンダーや私のようなITコンサル、業務コンサルなどに相談されると良いと思います。