「テレワーク実施率5.6%の衝撃」からのテレワーク普及に向けた道のりの遠さ

厚生労働省がLINEに委託した調査結果が出たとの事で、いろいろなメディアが記事にしてますが、取り合えずロイターを貼っておきます。

https://jp.reuters.com/article/column-tamaki-idJPKBN21Q0J3

国内ユーザー8000万人対象で、2400万人から回答。これから「仕事はテレワーク」にしているのは5.6%という事で。まさか2400万を分母にしてないよねえと疑問を抱きつつ、職業人にフィルターされた結果としてみれば、道のりは遠いですね。

実施していない理由として「テレワーク制度が整備されていない」との回答が41.4%、「テレワークで行える業務ではない」が39.5%、「テレワークのためのICT(情報通信技術)環境が整備されていない」が17.5%だった。

ロイター:コラム:テレワーク実施率5.6%の衝撃、政府の強い関与不可欠 (2020-04-08)

これを見る限りは、テレワークで行える業務と認識しているのは全体の6割近い中、5、6%というのは、対人接触を70-80%減を目標にするには低すぎでしょう。自分の周辺ではIT系が多いこともあり、中小は弾力的な運用をしている所がほとんどで、会社自体を1か月休業したり、フル~大部分の業務をテレワークにして凌いでいるようです。むしろクライアント側の大手企業の方が、普通に出社されたり、一部で限定的にテレワーク許可を出しているように見受けられます。

リモートワークが出来ない理由としては、アンケートの結果でも数字が出ていますが、制度が未整備が41%、ICT環境が整備されていないが17.5%という事で、制度的な点がネックになっている事がうかがわれます。

詳細は分からない所も多いですが、SNSやブログなどを読み進めていくと、非正規・派遣的な労務契約だと、そもそもリモートワークの想定が契約にないため、やむを得ず出社せざるを得ないとか、セキュリティー/コンプライアンス順守のため、リモートからのアクセスは一切認められていないとか。
そもそも直属上司が「出勤は当然」マインドのため、部下もやむなく出社せざるえないという恨み節も散見されます。

筆者も絡んでいるようなデータ分析業界では、指定拠点外へのデータ持ち出しが厳禁であるとか、個人情報関連は「プライバシーマーク」などの絡みから、指定の条件を満たしたロケーションのみ操作を許すといった制約があるなどは考えられます。ただ、ここまでの契約やコンプラ絡みで制約される以外の条件では、もっと柔軟に社内規定を柔軟に運用できる余地はあるのではと推察します。

「テレワークで行える業務でない」の内訳も、対人サービス業やロジスティックスなどはしょうがないとして、「押印が必要だから」のようなペーパーワークの慣習によるものは、デジタル化したいところですね。ToDOとして考えられるのは

  • ビジネスのコミュニケーションを紙ベースから電子化へ移行
  • 既存の紙の業務資産のうち、直近必要になるものはスキャンデータ化
  • 決裁・承認はワークフローを利用。承認・決裁印押印の撲滅
  • 対外文書押印も極力排除。DocuSignなどのオンライン契約に移行する事が望ましい。
  • テレワークに必要なPC、ネットワーク、ソフトウェアを調達
  • 社員への作業の割り当て、作業品質管理、評価基準などの整備
  • 通信費、交通費などの見直しを含めた社内規定の変更整備

などです。テレワークの例として、社員に常時カメラをONにするように共有している会社もあるようですが、監視カメラ的に運用して、時間で社員をしばるような運用はテレワークには、あまり向いていないように思えます。(もちろんチームによっては「みんなで仕事している感」の醸成といったプラス面も考えられます。)

私自身も何年もリモートワークの環境で作業しておりますが、よほどの新人でない限りは、社内外注をするような仕事の割り振りをした方が働きやすいと思います。要求成果・アウトプット・期限を指示して、納品された成果物を見て評価をするといった流れです。時間管理は従業員各自に任せて、期待のアウトプットが期限内に出てくれば良しとする考え方です。家事や子供の世話など、プライベートが割り込んでくる環境であれば、会社的な時間管理はなじまない事が多いですし、ストレスの元になります。プラスになる事は少ないでしょう。