分身ロボットカフェ DAWN Verβに行ってきました。

以前の職場で一緒に働いていた高野さんという方が、会社を辞めて独立間もない頃にALSを発症しまして、「ちょっと歩きにくいんだよね・・・」といったころから病状の進行を見てきました。

で、彼がパイロットをやるという、「分身ロボットカフェ DAWN」に行ってみたわけです。

https://arca-gia.com/lp/cafe/

こちらはOrihime。遠隔操作で操縦できるのですが、今日は島根や愛媛、岐阜などの外出が困難な病気の方が対応されていました。スピーカー&マイクを使って本人とお話できます。

注文すると、こんな感じでコーヒー(またはオレンジジュース)を持ってきてくれます。

まだまだ実験中のため、1時間の交代制。最初に企画主旨についてオリヒメ開発者の吉藤オリィさんからのご説明、元日本ALS協会会長の岡部さんのビデオを見た後、実際にオリヒメD型が注文を取りに来てくれます。「フリータイム」では、各テーブルで来場者とオリヒメのパイロットがコミュニケーションを楽しみます。1セット50分で入れ替えです。

オリヒメ自体は何度か難病患者のイベントで見たことがありましたが、実際にパイロットの方とお話するのは初めて。仕組みとしてはテレカンで会議をするようなものですが、ロボットの身振り手振りがコミカルなこともあり、ちょっと違った印象です。TV会議で相手の顔を見ながら話をするのとも違い、電話・FAX・メール・チャットなどとは異なる「ロボット/アバター」というコミュニケーション装置を通じた会話は、直接相手の表情を見る事が出来ず、かといってロボットの身振りで電話よりは親しみを感じるといった、独特の距離感があります。

ただ、なにより空間が「暖かい」。ロボットが接客するとなると、例えば新宿の「ロボットレストラン」などのエンターテイメント・レストランがあります。何となくメカメカしさや、ギスギスした感じを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。こちらはロボットの先に、確かに「人間」がいる事が感じられます。この辺りはオリヒメのデザインも含め、見た目はシンプルなのですが、オリィさんの試行錯誤の結果なのでしょう。全然、冷たい感じがしないのです。

またロボットの機能についても、機能てんこ盛りではなく、ほどよくセーブした感じ。カフェ業務の省力化を目的としたなら、そもそもパイロット要らずで、アームを動かした配膳までも対応できるでしょう。究極は回転すしのようにコンベアで運ぶカフェなんて方向性も出てくるかもしれません。

今回のβ版では、余儀なく外出が困難な人が社会参加・何らかの形で労働、社会貢献できるのかというPOCが目的のため、あえてテッキーな方向を突き詰める事はしてないそうな。(ただ衝突回避のセンサー/ロジックは入れた方が良いかな。オリヒメが衝突して倒れそうになったのが2,3回ありました)

今回の実験が一過的な物珍しさを超えて、将来的に持続的なビジネスにつながるかと言えば、まだまだハードルは多いと思いますが、それでも様々な可能性を感じさせてくれます。何よりパイロットの方々が「明日で終わっちゃうのか・・・」と残念そうに発言されている事から、このようなコミュニケーションの場はパイロット(患者さんなど)の側には強いニーズがあるのでしょう。

単純に飲食店の接客としてみれば、競合はスナックのママや、バーテンダー、メイド喫茶のメイドさんなどが競合にあたるのでしょうし、継続的に商売にするには相応のトーク力を求められる事になりますね(笑)ただコミュニケーションをとるニーズであれば、介護や育児、教育などの現場も考えられますし、ロボットを通じた接客であれば、受付やガイド、通訳、道案内なども視野に入ります。オリパラにも間に合うんじゃないでしょうか。

まずは12/7でβ版は終わってしまいますが、何かの機会があれば体験してみると良いと思います。