10万円オンライン申請の混乱はシステムの実情を無視した意思決定では

オンライン申請より郵便での申請の方が早いとか、裏で2人組で申請内容をチェックしているから1日100組程度しか処理出来ないといった報道などを見るにつけ、なんでそんなバカな事が起こっているのだろうと。

郵送にしても家族構成を印刷して送付しているのだから、データ自体は保有しているわけで、オンライン申請でもそれと連携すれば良いだけじゃないと思っていたのです。
もちろん現場の人も分かっているのだろうし、何らかの事情があるのだろうなあと拝察しておりましたが、その一旦を解説している記事が、日経コンピュータの浅川編集長から公開されました。

10万円オンライン申請は「失敗」だったのか?自治体を混乱させた本当の要因https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00139/060500068/

よもや、自治体側が保有している世帯情報を、マイナポータル側に送信する仕組み自体が違憲リスクがあるので想定されていないとは!

つまりは今回の支給自体が世帯単位で行われるため、世帯情報を利用できる自治体レベルでの処理の方が速いという事のようですね。

さらには個人のデータ突合のキーにマイナンバーが使えないというのも驚きでした。マイナンバーを利用できる事務(法定事務)の範囲が厳格に定義されているため、逸脱する業務では新たに法改正を行う必要があるということで。

 マイナンバーカードのICチップは2種類の電子証明書を格納している。電子契約や電子申請で署名・押印の代わりに使える「電子署名用電子証明書」と、マイナポータルへのログインや住民票のコンビニ発行などの本人認証に使う「利用者証明用電子証明書」だ。

現場にITに強い人がいる場合は、証明書のシリアルを使って突合を行ったという事で、これはナイスなエンドユーザーコンピューティングともみられる一方、先のマイナンバー利用制限の抜け穴とも読めなくもないのかなと思います。

*さらに、マイナンバーカードから呼び出せる氏名・住所の文字コードは、自治体が住民情報の管理に使う「住基統一文字」とはコード体系が異なる。これは住基統一文字が使えない一般的なパソコンでも氏名・住所を扱えるようにするための措置だが、両者の氏名・住所を機械的に照合するのは難しい。

さらには民間でも名寄せの混乱の元になっている文字コード違い問題も内在されていると。うーむ。

マイナンバーの運用を巡るプライバシー保護にまつわる議論で、マイナンバー運用の方向感が右往左往したのは記憶に新しい所ですが、今回のトラブルを契機に共有される情報の範囲などが見直され、適切な法改正に結びつくことを望みますが、そもそも、このような問題を孕んでいる事が分かっていながら「世帯単位の支給」という意思決定がなされてしまった事も大きな問題と思います。(これも国会で、すったもんだしていた経緯もありましたが・・・)

最低限、マイナンバーに振込の個人口座を紐づければ、申請そのものも不要であった可能性もあるわけで、e-govと言いますか、公共関連のデータ処理がもっとスムーズに進むと良いですねえ。