「醗酵する水、素粒水」のウソ

通称「素粒水」なるOne Waterという浄水器が設置されている我が家でございますが、マルチまがいの商法で頭弱めの健康志向の方々に地味に普及しているという現実もございます。宣伝文句はいろいろあるわけですが、「醗酵する水」というフレーズで「素粒水ヨーグルト」「梅の醗酵水」などが「素粒水」だけで出来るとセミナー等で主張されている様子。

いや、それ、「素粒水」じゃなくても出来るやろ

いわゆる自然発酵というやつですが、屋外で育成されている果実は表面に野生酵母、乳酸菌、土壌由来の各種細菌・カビなどが付着しています。これらは梅に限らず、ブドウ、柿、リンゴなどにも見られ、特別なものではありません。「素粒水ヨーグルト」の場合でも元の牛乳に乳酸菌が残存していれば発酵します。

それゆえ、ある程度条件が揃えば水に漬けるだけでも醗酵は起こります。
– 表面を洗いすぎない(野生酵母が残る)
– 温度が高め(20~30℃)
– 密閉に近い環境(酸素が少ないとアルコール発酵が起きやすい)

これらが揃うと、泡が出る、酸っぱいアルコール様の香り、白濁するといった変化は起こります。
大昔のワインの製法でも、ブドウ果汁を容器にいれて人為的に酵母を添加せずに発酵させていましたし、ヤギの乳を革袋にいれていたらヨーグルトが出来ていたという逸話まで、培養酵母や乳酸菌を添加せずに発酵をしていた歴史があります。

それゆえ「スプーンで素粒水を追加して・・・」「素粒水に漬けて・・・」といったプロセスは、ろ過されて殺菌力が落ちていることから自然発酵には若干有利という以外に、素粒水である必然性は無いわけです。

先日、「マツコの知らない世界」の火鍋の回で発酵野菜の火鍋のレシピで、発酵野菜の作り方の紹介をしていましたが、野菜を切って塩水に漬けるといったものです。素粒水じゃなくても出来ますね。

素粒水の代理店さんの中には「素粒水味噌」なるものを販売されているところも見かけましたが、原材料にはしっかり「米麹」と書かれていますし、手順にも「米麹」を加えていますね。「素粒水」が本当に「醗酵する水」であれば米麹を加える必要は無いはずなのですが矛盾してますね。

これら「素粒水ヨーグルト」「素粒水梅」などの自然発酵食品ですが、製法を見て頂ければ「微生物ガチャ」、つまり腐敗するリスクが大きいことに注意が必要です。酵母菌、乳酸菌を添加しないわけですから、もともとの果実についていた微生物によって食べられるものになるのか腐るだけになるのかが決まります。また、作っている途中で菌が混入するわけですが、それらの管理もしっかりしていないと腐る原因になります。(ロングライフ牛乳のように殺菌が徹底しているものであれば、発酵に必要な乳酸菌がもともと乏しいわけですからヨーグルトになりにくかったり、投入した素粒水に含まれる菌によって出来が変わってきます。)

SNSなどで見かける「素粒水ヨーグルトで失敗した」「素粒水に**を漬けていたら変な匂いがする」いった類の話は、元の菌がハズレであったか製造中に混入した菌でやられているわけですね。

古代メソポタミア、エジプト、ギリシャ、ローマの時代からのワイン造りなどに見られる自然発酵の歴史があるなかで、あたかも「醗酵する水、素粒水」といった宣伝は詐欺に近いものを感じるわけですよ。

他にも「トンネル効果」「電磁波ブロック」など、様々な特殊効果を主張されておられますが、これらも科学を勉強している者からみれば「そんなわけあるか!」と一蹴されるレベルの幼稚な話です。

購入を検討されている方は、「波動が高い水」とか「量子で処理された水」とか言っていないで、ちゃんとサイエンスのバックグラウンドを持った人に相談してみてね。あとPFOS/PFOAは素粒水浄水器じゃなくても、普通の活性炭浄水器でも除去できるからね。

よしなし事

Posted by tomi