サービス企画は引き算で
先日より、あるお客様のサービス開発のお手伝いをさせて頂いております。現状では、ざっくりとした製品のイメージやニーズの把握できているものの、どのように製品化していって、どのように販売していったら良いか?という所がイメージ出来ないというところでアドバイスさせて頂いたり、簡単なプロトタイプを作って意識合わせをしています。
そんな中で感じたのは、「機能を追加する=足し算の方向で話が進みがちだなあ」という事。
具体的なサービスのイメージを作り上げていく中で、どうしても機能を欲張りがちになります。特にソフトウェア/サービス営業を経験された方が加わると、協業製品との機能比較表などで見劣りするとセールスに支障をきたすので、「よそが持っている機能は、うちのにも絶対に必要」という主張は、どうしても声が強くなりがちです。
ただ、実際に導入して利用する段階になると、「いろいろとボタンがあって複雑」「どのメニューを使って良いのか分からない」といった操作感に対する不満が出てくるというのも、良くある話です。(例えばWord/Excel、ハードウェアで言えばスマートフォンなどが持っている機能のうち、どれだけ使いこなしているでしょうか?)
特に開発企画の初期の段階では、サービスのコンセプトを固めることが重要で、
・どんな人(スキルレベル、利用シーン、利用状況など)の
・どのような課題を解決する
のかを決めておかないと、仕様策定の際に採否の基準がブレまくります。
そしてコンセプトを考慮した上で、重要度が落ちるものに関しては、極力落とす=引き算する事が重要です。「あれば良いな」というレベルの機能は最初の段階では取り除き、必須の機能だけを取り入れるくらいで考えた方がいいです。操作画面は可能な限りシンプルにする必要があります。例えばソフトウェアやWebのサービスであれば「ボタン1個(これは極端にしても、5個以内とか)で済ますにはどうしたらいいだろう。」と、思いをめぐらせてみるのも良いと思います。
逆に、実際に「引き算」をするにあたっては、ターゲットを明確に絞りこみ、それ以外の売上げの可能性を捨てるという事になります。それゆえに批判が多くなりがちで、それに打ち勝つ必要が出てきます。特に大きい会社では販売部門の批判に打ち勝ち、企画の稟議を通すこと自体が困難を極めることになるでしょう。逆に競合と比較して足りない機能、あればいいなという機能の追加=足し算の発想は、分かりやすい故に批判は少ないのが常で、この方向で企画が進められることは多いです。ただし、それにより製品の複雑化やコストアップという弊害をもたらします。引き算の発想=切り捨てることにより、特定のターゲットにとっては魅力的なサービスに仕上がり、評判を上げることになるのです。この足し算/引き算のバランスが企画マンの腕の見せ所なのですが、特に引き算は難しく、時と場合によっては勇気が必要になってくるので、常に意識して行う必要があります。
つまりは商品・サービス企画の前提として、しっかりとしたコンセプトを打ち立てるだけのマーケティングがしっかりとしている必要があるわけです。それを含めても引き算の商品・サービス企画というのは難しいものですが、成功した際には使い勝手の良い優れたものが生み出されるのです。