絶望の炎上プロジェクトを救い出す考え方

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マインドテックの冨です。いやあ、お前が言うなというタイトルですけどね(汗

最近も某炎上プロジェクトの現場にヘルプに出かけ、久々に業火の黒煙の香りに懐かしさを覚えました。
自身も散々プロジェクトを燃え盛る炎の中に叩き込んでは屍の山を築き上げた経験が多数ありますので、名PMからはほど遠く、あまり人の事を言えた立場でもないのですが、逆に経験者ゆえに学んだ事も多いなあと感じています。

炎上する過程に関しては、PMの経験不足によるものや、リソース等の内的・外的環境による制約、顧客との関係性など多種多様の要因があるわけで、防止・対策については多くの要因を振り返る必要があります。

ただ、現実に燃え盛っているプロジェクトの火消しを行う際に、鎮火のためには2つの事を決めるのが必須と考えます。
(1) プロジェクトのゴールの設定
(2) 現実に達成可能な工程への見直し

「いや、それ当たり前でしょ」という声が聞こえてきそうですが、燃えているプロジェクトでは徹底出来ていないのです。直近でヘルプに入ったところもゴール設定が曖昧で作業量が見積もれませんでしたし、完成までにあと何が必要というのが見えないので、ひたすら目の前の作業を深夜残業・徹夜・休日出勤でつぶしていたわけです。当然、担当者も疲弊して離脱者も出ていたようでした。

(1) プロジェクトのゴールの設定

これは最重要です。何をもって完成品とし、作らなければいけない制作物、準備をしなければいけない事、完了させておかなければならない作業など、プロジェクトのゴールを決める必要があります。これが決まらないと、どんな作業が残っていて、そのボリュームはどの程度という評価が出来ないのです。プロジェクトを遂行するメンバーにしても、作業の達成基準が明確でないと、ひたすらゴールの見えないマラソンを走り続けるようなもので、心身ともに大きなストレスを受けます。最悪の場合にはプロジェクトからの離脱も発生して状況が悪化します。

不幸なことに、お客さん側からのリクエスト(追加のリクエスト、認識してなかった要件の顕在化など)により、ゴールが動くことがままあります。それでも当初のゴールが決まっていないと、「ゴールが動いた/動かした」ことが共通認識として持てなくなります。つまり、締め切り日の変更や追加費用の請求などを行う根拠が無くなる事を意味しますので、PMとしてはクリティカルな問題です。

(2) 現実に達成可能な工程への見直し

これも、締め切りのスケジュールやマイルストーンから逆算して、この時期にはここまで出来ていなければならないという「べき」論でプロジェクト計画がなされる場合があります。プロジェクト当初の計画立案の段階では良いのですが、炎上している状況では見直す必要があります。つまり、プロジェクトで確保している人的・物的リソースやスキルレベル、健康状態、その他もろもろの事情を考慮して、(a)残りの作業項目の一覧 (b) 担当者の割り当て (c) スケジュールの調整 を行います。

(a)は一覧の作業が全て遂行されたら(1)のゴールが達成できるように、すべて網羅され、かつ具体的なものでなければなりません。当然、各作業に要するスケジュールも見積れる必要があります。(そうでないとスケジュールが組めません)

(b) は一覧化された各作業を遂行するために必要なスキルを持つ人員を割り当てます。スキル的にチャレンジ要素を含むものには極力割り当てない方が良いです。人が足りない場合も出てくると思いますが、その際には(a)に戻って作業を減らす(それに伴い、最終ゴールを調整する。品質を落とすなどの調整も必要)か、新たに調達してくる手はずを整える事になります。ただし単純作業を除いて新規のメンバー調達は避けるべきでしょう。新メンバーへの作業内容の説明の教育や作業管理のコストは、特に要する時間を考えると大きいとみるべきです。

(c) は(a)の各作業を締め切り日に向かって調整していくわけですが、この時期にはこれが終わっていなければならないといった理想論からスケジュールを決めてはいけません。現実的に達成できる基準で設定する必要があります。(また、可能であればトラブル発生時のリスクヘッジの日程も含めるべきです)

スケジュール調整を行っていくと、どうしても締め切りに間に合いそうに無いという局面が現れます。この場合には締め切り日の調整などを含めた交渉に入る必要が出てきます。最悪の場合には訴訟をちらつかされる場合もありますが、(a)~(c)の調整後ではリソースの都合などで「出来ないものは出来ない」ので「べき」論でいうスケジュール要求は飲まずに、現実的に達成できるレベルを基にして、ビジネス的な落としどころを探るべきです。炎上プロジェクトでは現場PMの決裁権を越える調整が必要な場合もありますので、鎮火のために速やかに上席者の同席を求めるなどの対応が必要です。

現実的に達成できることを基準にプロジェクトを見直すこと

炎上プロジェクトと一言で言っても、いろいろな背景・局面があるので、対応の方針については一概に言い切れないのですが、少なくとも現場の作業遂行担当者にとっては、自分のやるべき作業内容・成果物が定義されていること。それが自分が遂行できそうだと確信できること。指定の期限で作業がこなせそうなこと。これらが揃って心的な負担が軽くなり、モチベーションも生まれます。引き続きハードワークが必要だとしてもゴールが見える事でずいぶんと違ってきます。

一番のプレッシャーは、お客さんとのスケジュールを含めた事前合意を変更しなければいけない事だと思います。契約や「すでにリリース日程を告知して、メディアにも発表したし、予約も入ってきている」などの厳しい外部要因がある場合もあります。ただ、現実問題として出来なそうな事については、そのままにするとお客様も不幸になるので、一緒にプロジェクトの着地点や、残りの日程のプロジェクトの運営を探る動きに入るべきです。「それはお宅の責任でしょ。ちゃんと期限内にやれるやり方を考えて持ってきなさい」とお客様に詰められる場合も多いわけですが、それが出来ない見込みなので相談に行くわけでして、事前にいろいろと着地点のオプションや話の進め方を考えて臨んでください。

 

とか書いていて、いろいろな悪い思い出が頭をよぎりました・・・(汗

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